韓国民話絵本 アヅキがゆばあさんとトラ

 韓国では、冬至や引越しの日に、アズキ粥をたく習わしがあります。アズキとお米を入れてたいたアズキ粥は、ただ味がおいしいだけでなく、アズキの赤い色が悪鬼を追い払ってくれると、信じられてきたのです。「アズキがゆばあさんとトラ」は、韓国の昔話のなかでも、とりわけおもしろい話です。全体的にこっけいでユーモラスな雰囲気のなかで、出来事が無駄なく簡潔明快に展開していくのが、この話の特徴です。粟・犬の糞・錐・臼など、身の回りのものたちが動いてしゃべって、子どもたちの好奇心を刺激しながら、「おいしいアズキ粥」をめぐる、ああだこうだとゆかいなコメディーが、繰り広げられていきます。
 話をよく吟味してみると、力のない弱者たちが力を合わせ、機転を利かせて強者を追い払う内容になっています。いたずらっぽい話を通じて、「協同」の重要性を、それとなく伝えています。また、雰囲気を盛り上げるために用いられた、テグルテグル(コロコロ)・チャルバッチャルバッ(パチャパチャ)・チョルトッチョルトッ(ペッタリペッタリ)・クンドックンドッ(ゴトンゴトン)などの多様な擬声語からは、韓国語の豊かさと美しさを感じることもできます。


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